3.11の未来 -日本・SF・想像力(小松左京ほか)

小松左京野尻抱介谷甲州あたりを目当てで購入しましたが、たいへんしんどい本です。
小松左京の巻頭言。「原発で死者は一人も出ていない」という度量の広さに安心する。広島・長崎・大空襲を体験してる世代のしなやかさ。
野尻抱介は、科学オタク丸出しの脳天気さというかオプチミストさかげんが良かった。
押井守は、ああ、そっちに行っちゃったか。まぁ行くわな。と安心する。
豊田有恒は、世界の原発技術から古文書まで、この人も行動派知的巨人だなぁと改めて思う。今の日本に必要なのはコスモクリーナーDだ、ちょっとイスカンダル行ってくるとあの頃確かに思いました。
瀬名秀明は、当時の仙台人の感覚に一番近いんではないか。身体感覚の伴わない恐怖を情報で埋めようとして埋められず、ただ不安をまき散らしているだけの人びとが哀れでならなかった、あの頃。つい半年前のことなのに、私も今はそうなっている。
3.11に際して「情報災害」という概念を提唱した意義は大きいと思います。いろんなもやもやしたものが「情報という避け得ない津波の被災者(加害者でもある)なのだ」と考えるとすとんと落ちてきます。
谷甲州の対談は、小松左京存命だったのね。ちょっと食い足りない。というか、対談者の一人、石和義之という人の意見が実に小賢しく、腹立たしく、何度も読むのやめようかと思いました。