復活の地 II(小川一水、ハヤカワ文庫JA)

震災から2週間経過。首都圏の騒ぎを聞くに付け、水道水が飲めること自体、自販機に飲料があること自体が大変有難いことだなと感じています。コンビニが細々と営業し始めました。もう少しで仙台の生活もほぼ正常化するでしょう。
正常化のその後に何が来るか、それを予見できる第2巻。トレンカ大震災から数ヵ月後を描いています。まぁ話の内容的には政治・軍事・外交向きの綱引きが強かったりして、誰もが過誤を犯すのです。

・・・P111
あちこちの惨状を取材していたヘリトとグインデルの二人はそういった事件をいくつも見て回るにつれ復興院がどんな組織なのかを理解していった。それは孤軍奮闘と言っていいような悲壮な活動をしている。にもかかわらず、ただそれが後発だから、他の組織がさんざん不手際をやったあとに出てきたから、いわれのない甚大な避難を受けつつあるのだった。
二百人程度の避難民のいる公園に、千人分はありそうな食料と日用品が山積みにされている。避難民がしかめ面で、こんなに送ってきたって腐っちまうとぼやいている。

・・・P188
「彼らは行政の管理を受け入れないのです。なんと申しましょうか・・・言われずともやる。だが言われたことはやらない、というような気風がありまして。それが彼ら『篤志人』立ちの特徴なのです」

・・・P213
親を亡くしたある子供は、近くの空き地で花を摘んで売った。精一杯の努力だったが、死者のための葬式を出せないでいた人々が争って買い求め数万リングもの儲けになった。しかし翌日にはそれを知った大人たちが野の花を摘み取り、五日の間に帝都の花は全てなくなった。
震災が儲かると知った人々の動きは凄まじかった。地方へ買出しに出た人々の倍以上ものの数が、商売のために帝都に乗り込んだ。

復活の地 2 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 2 (ハヤカワ文庫 JA)