煙突の上にハイヒール(小川一水、光文社)

小川一水の新刊。文庫じゃないけど、ソフトカバーでよかった。
ちょっと技術が進んだくらいの、来年か再来年には実現するんじゃないか/して欲しいなーって感じがする近未来SF短編5本。
あと、各短編で文体を小器用に変えてくるのがなんかすごい/余裕あんなーと思いました。
・・・読了。
いつものおきらくごくらくあっさりあっけらかんかと思ったら、それはそうなんですが、すごい本でした。

煙突の上にハイヒール

煙突の上にハイヒール

以下ねたばれ。

  • 煙突の上にハイヒール ・・・「妙なる技の乙女たち」で「イカロスの誕生日」の前半あたりの感じ。女性が元気で良いです。あああ、Mew欲しいです。てゆうかローターの構造がどーなってるのかいまいちつかめなかったけど、そこはこの小説の魅力の中心ではないのでどーでもよろしいのかもしんないけど、それでも設定オタクとしては気になるな。
  • カムキャット・アドベンチャー ・・・この状況で三次元には興味がないと言い切れる八日市くんが漢だと思いました。かくありたいものです。猫の集会とか着地とか、これは実際に首に無線カメラでも下げて撮影してみて書いたんじゃないかしら。
  • イブのオープンカフェ ・・・ロボット技術的にはだいぶ先の話ですね。ミステリ要素も合わせてくるとは思わなかった。瀬名秀明のアンソロジーに入ってそうな感じ。
  • おれたちのピュグマリオン ・・・すとんと着地したけど、これってすごい倒錯したところに立ってますよね。メイドロボに惚れちゃう物語なんて掃いて捨てるほどあるけど、中の人がこれではなぁ。いや、これはこれでありなのか?結局外見さえ理想の女ならOKなのか?これが今話題の「男の娘」ってやつか?ん、既に中の人は死んでたりしてこのロボ自意識に目覚めてるんでは? う〜ん、深い。
  • 白鳥熱の朝に ・・・ボーイミーツガールかと思ったけど、それはそうなんだけど、途中は小松左京の「復活の日」かと思い、読後感はこうの史代の「夕凪の街/桜の国」でした。最後にこの小説を配したことで、この本自体の評価がえらく変わってしまいました。