竜の卵(ロバート・L・フォワード、ハヤカワ文庫SF)

書かれたのは1980年、まだソヴィエト連邦があった時代。つくづく最新科学SFは早いうちに読んどくべきだと今になって思います。初版は1982年で、高校時分に読もうとして挫折した作品です(^^;)。名作フェアだかで復刊されてたので、久々にガチ理系海外ハードSFにチャレンジ。
序盤。
のっけから中性子星の成り立ちや観測機の軌道計算からスタートします。難しいよ〜。図版が欲しいね。
・・・中盤。
中性子星人チーラがけなげでかわいい(^^;)。脳内ヴィジュアルは平べったい「だんご大家族」。
原始狩猟生活、12進法の発明などを経て旧約聖書的な帝政を布いてます。このへんはやっぱキリスト教文化圏下の小説ですな。人類の単なる観測行為が他の星の文化歴史に「奇跡」として干渉しちゃうってのは、ホーガン「造物主の掟」でも面白かった部分です。あと電脳コイルの「ダイチ、発毛ス」も彷彿。
あ、巻末に図版付いてましたね。竜の卵までって結構遠いのね。つか、このチーラ、うーん、なめくじ?あわび?

竜の卵 (ハヤカワ文庫 SF 468)

竜の卵 (ハヤカワ文庫 SF 468)

・・・読了。
やー、いい読書でした。なんか未来に希望持てるっていいね。つくづく80年代アメリカSFでした!
以下ねたばれ。
P328で遂に科学力が逆転。ファーストコンタクトも、X線がチーラの可視光線だから骸骨に見えちゃうのね(^^;)。太陽ブラックホールは何とかしてくれるだろうとは思いましたが、乳がんの治療までしてくれるとは。
そんでもって慣性制御にFTL。実績と可能性、目標だけを示すってのはたしかに本人の努力を促すよなぁ。
追記。
チーラの思考が地球人類と似過ぎてるなぁと思ってたんですが、逆に、ここまで理屈付けすれば異質な環境でも地球人類型の知性が生まれ得る、という思考実験と思うようにしました。
同じ地球人類でも異質な思考を持った人はいくらでも居ますしねぇ。