短編ベストコレクション現代の小説2006(日本文藝家協会編、徳間文庫)

アンソロジーですが小川一水の新刊として購入。「フリーランチの時代」って短編が収められてます。
火星で異星人とファーストコンタクト。喰うか喰われるか(^^;)。主人公は29歳日本人女性ですが、実にかわいらしい。
タンスターフル」は「月は無慈悲な夜の女王」で出てきたコトバでしたかねぇ。働かざるもの喰うべからず。ニートとか考えると2005年の世相を反映してるのかな。ハインラインは遠くなりにけり。小川一水の力量なら、「喰う」の意味合いをもう一つ二つばかり付け足せたような気もします。

その他の作家の作品(順不同)

  • 「戦争体験館」(三崎亜記)痛いのはBB弾でさえも嫌です。いわゆるブラックユーモアですが、問題意識で書いた、という感じは受けませんでしたねぇ。
  • 「スーパーマンの憂鬱」(荻原浩)食品だけでなく、みのもんたの国内流通への影響力ってのは凄いです。話の展開自体は概ね予想通りですが、オチの開き直りっぷりは見事。見習いたいところです(^^;)。
  • 「女友達」(唯川恵)37歳独身女性の沽券と葛藤が面白い。ほんの少しだけ身につまされたり?
  • ゴーストライター」(瀬尾まいこ)もうちょっと先がありそうで、続きが読んでみたい。
  • 「父の手」(石田衣良)なにかの言い訳つけて仕事辞めて実家に帰りたい長男の話。身近だし、考えさせてくれるし、まとまってるし、収録作の中では一番好きですね。
  • 「スッポン」(田口ランディ)食にこだわったグロテスクかつ実に美味そうな描写を上記小川一水作品の直後に配置する妙がイカします。
  • 「ゆがみ」(高橋克彦)昭和レトロがさほど非現実じゃない、盛岡ってそういう街ですな、うん。