グイン・サーガ外伝7 十六歳の肖像(栗本薫、ハヤカワ文庫JA)

短編集4本。アルド・ナリス、ヴァレリウス、マリウス、スカール、それぞれの16歳ですが、生まれ年も違うこととてちょっとずつズレてる世相の中、各人の個性がどう育まれたかをつづる・・・んだと思います(^^;)。

  • 闇と炎の王子 ・・・ナリスはやっぱりよく解らんなぁ。何かに飢えてるのは分かるけど。グイン登場以前にはナリスが一番グラチウスに狙われる存在だったってことか。あと、フェリシアは器が大きいなぁ。
  • 暗い森の彼方 ・・・暗いのかひょうきんなのかよくわからないヴァレリウス。ナリスと同い年なのか、最後のくだりが重なってて面白い。
  • いつか鳥のように ・・・本当に間諜だったかどうかは別としても、マリウス出奔はこの挿話で既に運命づけられた感じです。
  • アルカンド恋唄 ・・・これは美文だわー。風景も心情も描写が美しい。交わらない少年と少女というか、交われないと理解した上で、しかし別れることもできないと。もう男と女ですな、この関係は。

ナリスまわりの血縁関係って、歴史上の人物で似たようなのがあったような気が。親の代でも兄弟の家督争いがあって、妾腹の兄弟や従兄弟ともそれぞれ取り巻きの思惑があるせいで距離感を置くような。天武天皇とかそんな感じ?