エピデミック(川端裕人、角川文庫)

いつのまにか文庫落ちしてました。感染防疫のお話。
年始にインフルエンザに罹ったばかりなので、身に詰まされつつ。
・・・序盤。
千葉の片田舎でSARS?流行のような微妙な動きから、防疫の担当者、患者とその家族、行政、取材記者などなど群像劇的にどんどん登場人物が増えていきます。把握しきれるかなぁ。このほか動物愛護施設や謎のネット住民などもちらほらと。
川端さんの場合、かなり重層的なキャラ構成をしてくるのもあって、テーマの重さもさることながら、気の抜けない読書です。

・・・終盤。以下ねたばれ。
やー、人死にがこんなに出るのって川端作品では初ではないでしょーか。
怪しげな研究所と怪しげな少年、怪しげな宗教団体っぽいのが序盤から居ることは居たわけですが、どうもこれが諸悪の根源ってことになると、それはそれで順当すぎてつまらんような。
・・・読了。
ミステリとしてはいささかオチが弱かった感。怪しい要素のいくつかがパズルのピースとしては「余り」になっちゃってるので、きっちりとハメて頂きたかった。
あと「毒王」ってのは表現としてかなりインパクトあるなーと。