春の軍隊(小松左京、新潮文庫)

昭和54年初版の古本。

  • 「春の軍隊」・・・戦中派らしい問題意識で、平和な田舎町に起きた突然の戦争騒ぎの理不尽さを描きます。
  • 「共喰い ホロスコープ誘拐事件」・・・SF臭の薄いコミカル誘拐。ネタとしては「世にも奇妙」でドラマ化してそうな感じ。P72、近頃の若いやつは頼りにならないので犯罪も中年ががんばらなくちゃいけないっていう慨嘆に笑った。
  • 「こういう宇宙」・・・ひょっとして私は凄いSFを読みましたか? 銀座のバーが土星衛星レアにつながってるっていう下世話なヨタ話から始まって、えらいところへ連れてってもらいました。
  • 「男を探せ」・・・官能SFで、谷甲州「エリコ」を思い出しました。BJだの手塚医師だの松本、永井、石森・・・と漫画家との付き合いの深さ?を感じました。
  • 「オフー」・・・今も昔もそんな変わらない健康食品関連の文明批評SFかと思いきや、P277、麦や米を「飢餓特効薬」として捉えた、大掛かりな社会文明批評に持って行きます。いいなぁ、こういう巨視的なハッタリ感。

春の軍隊 (新潮文庫 こ 8-8)

春の軍隊 (新潮文庫 こ 8-8)