あなたの人生の物語（テッド・チャン、ハヤカワ文庫SF）

CMによると「トップをねらえ２！」（未見）の最終話タイトルがこれのようで、以前から評判も高かったし、いい機会？なので読んでみることにしました。
いろんな賞を受賞してる短編集ですね。以下、順不同。

「あなたの人生の物語」･･･ファーストコンタクトSFでもありますが、メインは言語、認識論SFでした。「夢の樹が接げたなら」（森岡浩之）、「象られた力」（飛浩隆）あたりを思い起こします。文章は、読みにくくは無いまでも違和感があります。が、それ自体がこの作品のテーマだったんですな。因果律なんかも含めた感じで、深い。長編にしたら、えらいところへ連れて行ってくれそうな作品です。
「バビロンの塔」･･･SF？なんだよな、これも、うん。ダイソン殻とかスタンフォードトーラスとか島三号とかいろいろと想像はしたんですけども。
「理解」･･･チャーリイ・ゴードンvsエージェント・スミスと解釈しましたが、どうでしょう。
「ゼロで割る」･･･ぐわぁ、数学だ(TT)。でも以上2編が土台にあってこその「あなたの〜」なんでしょうね。
「七十二文字」･･･DNAを錬金術的に解釈する話とみましたが、どうでしょう。しかし、アルファベット26種よりも漢字のほうが「名前で縛る」力は圧倒的に強い気がします。リー・リンチェイの映画「HERO」でも矢が降り注ぐ中、延々字を書き続けてる国とかあって「ひょっとしてあれは呪術だったのかもしれない」とか思い出しました。